ギックリ腰
「ギックリ腰」は、正式な病名では無く、正確には「急性腰痛」と言われています。この急性腰痛の原因には諸説ありますが、経験上、腰椎(腰骨)の椎間関節もしくは仙腸関節の捻挫であることが多いと感じます。捻挫と言うと足首の捻挫を思い浮かべるかと思いますが、足首と同様に、何らかの外力によって椎間関節or仙腸関節を捻ります。そして、痛くて立ち上がれない(力が入らない)、寝返りをうてない、曲げ伸ばしできないなどの強い痛みを生じます。
椎間関節とは?
背骨は24個の椎体(頸椎7椎、胸椎12椎、腰椎5椎)からなっています。その内、腰椎は5つからなり上下の腰椎をつなぐ関節が椎間関節です。下位の腰椎で捻挫することが多く、起床時の起き上がりや不意に体を捻った時に椎間関節を捻り発症します。
図1
仙腸関節とは?
いわゆる骨盤にあたる仙骨と腸骨からなる関節が仙腸関節です。仙腸関節は、人体の中でも可動性が少ない強固な関節の一つと言われています。しかし、強固な仙腸関節は、筋力低下、姿勢不良、疲労などで一時的に不安定な状態となり、くしゃみや咳、かがんだり、物を持ち上げた時に仙腸関節を捻り発症します。
治療法は?
ギックリ腰(急性腰痛)は、多くが椎間関節や仙腸関節の捻挫と上記で記しました。どちらも、関節を捻挫することで患部に炎症が起こり、強い痛みを生じます。炎症とは、「発赤」「痛み」「腫れ」「熱感」の4徴候を表しますが、24~72時間の間で最も炎症反応が活発になるため、この期間に炎症反応を抑えるかが治癒を早めるポイントです。転んで足をすりむき傷口から出血することと、捻挫で起きる炎症は同じ生理的な反応を示しています。言い換えれば、捻挫によって組織(関節、靭帯、筋肉etc)が損傷し、その損傷部分から出血する状態を炎症と考えると理解しやすいでしょうか。炎症を抑えるには、患部を「冷やす」、コルセットなどで固定して「安静」がもっとも効果的です。つまり、炎症時に動かすことは、患部をさらに悪化し痛みを助長するだけでなく、治癒過程を大幅に遅らせる要因となるため注意が必要です。まずは安静、そして、患部を痛めないような手技療法や電気療法が効果的です。