スポーツ外傷
足首の捻挫
足首とは、正確には足関節(そっかんせつ)と呼ばれています。足関節の捻挫は、内がわに捻る内反捻挫、外がわに捻る外反捻挫がありますが、最も多いのは内反捻挫です。この内反捻挫について詳しく解説します。
内反捻挫の発生機序:
内反捻挫は、階段などで足を踏み外す、スポーツ中に相手と接触し転倒するなどで、足を内がわに向けて捻ることです。内反捻挫は、外がわの果(くるぶし)周辺の靭帯や筋肉が伸ばされて損傷し炎症を生じ、痛みと共に可動域制限を起こします。受傷後、すぐに痛みと腫れ、熱感が表れ歩行困難になることもあります。
果(くるぶし)周辺の靭帯には、前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯の3つの靭帯があり、最も損傷されやすいのは前距腓靭帯です。
(損傷している靭帯の見分け方)
前距腓靭帯の損傷:足を内がわに捻ると痛い
踵腓靭帯の損傷:足を伸ばすと痛い
後距腓靭帯の損傷:足を曲げると痛い
損傷後、徐々に損傷部位に限局した痛み、腫れ、熱が伴います。これは、損傷した靭帯に炎症が起こっているためです。
治療法:
内反捻挫では、靭帯が損傷(稀に足部の筋肉も損傷します)した部位に炎症を生じます。この炎症状態を如何に抑えるかが、治癒を早めるポイントです。
患部を「冷やす」、包帯やテーピングで足関節を90°に固定して「安静」がもっとも効果的です。炎症時に、動かしたり温めたりすると患部をさらに悪化し痛みを助 長するだけでなく、治癒過程を大幅に遅らせる要因となるため注意が必要です。
(詳しくは、下記の“炎症とは”を参照ください)
膝の痛み
スポーツの接触プレーにおいて、最も頻繁に痛める部位が膝の内側です。膝の内側には、内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)、内側の半月板(膝の軟骨)、筋肉があり、接触プレー、単独でも受傷しやすい部位となっています。
内側側副靭帯と内側の半月板損傷:
(内側側腹靭帯とは?)
内側側副靭帯は、膝の関節の内がわを補強する靭帯です。主にその役割は、膝が内がわに倒れないように補強、制限する働きを持っています。構造上、外がわの靭帯よりも内側側副靭帯は柔軟性があるため、その可動範囲を超えると簡単に損傷してしまいます。また、内側側腹靭帯は、内側の半月板に付着しているため、内側側腹靭帯の損傷と共に内側の半月板も損傷します。
(内側の半月板とは?)
全ての関節には、軟骨(膝の軟骨は半月板)が存在しています。軟骨は、関節にかかる負荷、ストレスを緩和する緩衝器の役割と膝の曲げ伸ばしをスムーズにする役割を担っています。膝の曲げ伸ばしは単純な動きでは無く、曲げ伸ばしの時には捻じり(ねじり)も生じています。この捻じりは、外がわよりも内がわに大きな捻じりのストレスが働くため、内側の半月板が損傷しやすくなります。そのため、半月板損傷は、内側の半月板に起こることが多くなります。
内側側腹靭帯と半月板の受傷機序:
内側側副靭帯の役割は、膝が内がわに倒れないように補強、制限させる働きがあると上記で記しました。そのため、膝を内がわに強く捻ることで損傷します。
具体的には、
・サッカーやバスケなどでボールを持った時にターンする
・横からの接触(タックルなど)により倒れる
・ジャンプの着地でバランスを崩しながら着地する
などです。
また、女性ではX脚(内また)のため、膝を内がわに捻りやすくなり男性よりも損傷しやすいとも言えます。損傷が強い場合は、靭帯断裂を疑う必要あり、同時に前十字靭帯の損傷もしくは断裂している可能性があります。
治療法:
内側側副靭帯と半月板の損傷では、同部位に炎症が生じます。この炎症状態を如何に抑えるかが、治癒を早めるポイントです。
患部を「冷やす」、包帯やテーピングで膝関節を軽く曲げた状態で固定して「安静」がもっとも効果的です。炎症時に、動かしたり温めたりすると患部をさらに悪化し痛みを助長するだけでなく、治癒過程を大幅に遅らせる要因となるため注意が必要です。
(詳しくは、下記の“炎症とは”を参照ください)
炎症とは
炎症とは、「発赤」「痛み」「腫れ」「熱感」の4徴候を表します。
炎症のピークは、24~72時間の間で最も炎症反応が活発になるため、この期間に炎症反応を如何に抑えるかが治癒を早めるポイントです。
言い換えれば、24~72時間は炎症が収まらない可能性があるため、この期間は無理をするべきではないと言えます。
また、炎症とは、転んで足をすりむき傷口から出血することと、捻挫で起きる炎症は同じ生理的な反応を示しています。つ
まり、捻挫によって組織(関節、靭帯、筋肉etc)が損傷し、その損傷部分から出血する状態を炎症と考えると理解しやすいでしょうか。
炎症を抑えるには、患部を「冷やす(アイシング)」、包帯やテーピングなどで固定して「安静」がもっとも効果的です。炎症時に動かすことは、患部をさらに悪化し痛みを助長するだけでなく、治癒過程を大幅に遅らせる要因となるため注意が必要です。
冷やす(アイシング):損傷部位に氷(ビニール袋に氷を入れる)を30分~40分間当てることが効果的です。冷やし始めると痛くなってきますが、徐々に感覚がマヒし気持よくなってきますので我慢して冷やし続けて下さい。また、冷湿布は冷える効果はありませんので、受傷後は湿布ではなく氷で冷やすことが最も効果的です。
安静:動かさないようにすることですが、できれば、「圧迫」と「挙上」も加えると治癒過程を早めます。
「圧迫」は、包帯やテーピングなどで外から損傷部位へ圧をかけることです。これは、損傷した靭帯からの出血や浮腫を抑えます。
「挙上」は、心臓よりも高い位置に上げ、損傷した靭帯からの出血や浮腫を抑え、腫れを抑えます。